Linux や UNIX 系の標準的なグラフィック/ウィンドウ機能提供プログラム XWindow System では,ごく簡単な描画機能と単純なウィンドウ操作機能しか提供されていません.ウィンドウマネージャは,ウィンドウの大きさや位置,アイコンなどをマウス等で操作するためのプログラムです.最近のウィンドウマネージャは非常に高機能になっており,次のような機能を備えているものが多いです.
画面を擬似的に広く使うための機能です.例えば,800x600の画面を4枚並べて1600x1200の画面であるかのように見せることができます.マウスポインタが画面の端に来た時に自動的にスクロールさせたりできるものもあります.広く見せるのではなく,複数のデスクトップを切り替えるタイプのものもあり,Vine Linuxの標準ウィンドウマネージャである Window Maker はこちらのほうです.
デスクトップにボタンのようなものを表示し,それをクリックすると特定のアプリケーションが起動される機能です.Windows で言えばデスクトップに置いたショートカットに当たります.アプリケーションの起動だけでなく,ウィンドウマネージャ自体の設定を変更する機能を備えていたり,ボタンそのものにアプリケーションを貼り付けたりする機能があったりします.Window Maker では Dock がこの機能を果たします.
タイトルバー,タイトルバーのボタン,メニューなどの見た目,配置を変更する機能です.単に色を変えるだけのものから,画像を貼り付けたりアニメーションを行ったりできるものまで,いろいろあります.Window Maker にも「テーマ」という機能があり,デフォルトでも様々なテーマが準備されています.
ウィンドウマネージャに関する操作(ウィンドウの操作,デスクトップの移動,アプリケーションの起動など)をマウスではなくキーボードを使用して代行する機能です.
デスクトップ環境はパネル,アイコン,ツールバーなどを提供し,主にユーザアプリケーションやデスクトップ環境自身の設定を行うツールを呼び出します.Vine LinuxではGNOMEとKDEのデスクトップ環境が用意されています.いずれも画面にパネルが現れ,これらから各種アプリケーションを呼び出すことができます.また,パネルにアプリケーションを登録したり,背景やアイコンなどの見た目の変更や,キーボードやマウスの機能の変更など様々な機能を備えています.KDEは独自のウィンドウマネージャを持っており,デスクトップ環境とウィンドウマネージャを統合した機能を備えています.一方,GNOMEには専用のウィンドウマネージャはありませんが,既存のウィンドウマネージャ(Window Maker, enlightenmentなど)と組み合わせて使うことができます.
Vine Linuxの標準ウィンドウマネージャは,NeXTStep に似た外観と,ほとんどの設定を GUI によって設定できるという特徴を持つ,Window Maker です.画面を仮想的に広く見せるようなタイプの仮想デスクトップ機能はありませんが,切替式で動的に数を増減させることのできるワークスペースという機能があります.
Window Maker には他のウィンドウマネージャにはない「アプリケーションアイコン」というものがあります.起動されているウィンドウの分身のようなものが,画面左下に表示されます.いわゆる通常のアイコンのには小さなタイトルバーが付いているので,見分けられるでしょう.アプリケーションアイコンは,Windows のタスクバー内のタイトルに相当します.
Window Makerに関する情報は「 Window Maker」のページを御覧下さい.また,FAQは「 http://www.nurs.or.jp/~gen56/wmaker/wmfaq_j.html」にあります.
Window Maker によるウィンドウの基本的な操作を説明します.
タイトルバーを左ドラッグするとウィンドウを移動できます.タイトルバーが見えない場合でも,ウィンドウ上で [Alt]+左ドラッグすることで移動できます.ウィンドウの左右まで移動させることによって,ワークスペース間を移動することもできます.
ウィンドウの下にあるリサイズバーを左ドラッグします.また,ウィンドウ上で [Alt]+右ドラッグすることもできます.
タイトルバーを [Ctrl]+左ダブルクリックで縦方向に最大化,[Shift]+左ダブルクリックで横方向に最大化します.[Alt]+[\] にも縦方向最大化が割り当てられています.
マウスで切り替えるほか,[Alt]+[TAB] によって画面内のアクティブウィンドウが順番に切り替わります.
タイトルバーをクリックすると上に出ます.[Alt]+クリックで下に隠れます.[Alt]+[↑] もしくは [Alt]+[↓] でアクティブウィンドウが上下に浮いたり沈んだりします.また,WPrefs や wmakerconf でフォーカスが当たると自動的に上に出るような設定にもできます.
ウィンドウの右上の「×」ボタンをクリックすると,アプリケーションを強制終了させます.この操作ではアプリケーションにより正常に終了できないこともありますので,できる限りアプリケーション用の終了ステップを踏むべきです.この操作で終了しない場合は,タイトルバーを右クリックして「強制終了」を選びます.
ウィンドウ左上の「□」ボタンをクリックするとアイコン化され,画面左下にアイコンが表示されます.タイトルバーをダブルクリックすると,タイトルバーのみにシェードされます.また,ウィンドウ内で [Alt]+[M] すると最小化(いわゆるアイコン化),[Alt]+[H] するとアプリケーションアイコン内に隠されます.
Window Maker のメニューは,項目を選択したあとも独立したウィンドウとして残すことができます.タイトルバーが付いているメニューについては,タイトルバーをもう一度クリックすることで,独立したウィンドウになります.
ルートウィンドウ(いわゆる背景)で右クリックすると出るメニューです.また,[F12] というショートカットも設定されています.アプリケーションの起動や,ウィンドウマネージャの終了などのメニューです.このメニューからは,外観や背景,アイコンなどをまとめて設定できるテーマの機能も呼び出せます.
ルートウィンドウで真中クリックで出ます.また,[F11] でも呼び出せます.現在ウィンドウマネージャが管理しているウィンドウのリストです.
タイトルバーを右クリックすると出ます.ウィンドウの移動,大きさの変更,強制終了,アイコン化,属性変更などを行うためのメニューです.
Window Maker には動的に数を変更できるワークスペースという機能があり,他のウィンドウマネージャにおける仮想デスクトップの代わりに使用できます.[Alt]+[Ctrl]+[→] もしくは [←] で各ワークスペース間を移動できるほか,[Alt]+ファンクションキーで対応するワークスペースに移動できます.
他のウィンドウマネージャのPagerに相当するのが,画面左上に表示されているClipです.右上と右下の△でワークスペース間を移動できるほか,通常は画面左下に並べられるアプリケーションアイコンを引き寄せたり,引き寄せたアイコンを内部に折り畳んだりできます.
ルートウィンドウで左ドラッグして範囲指定したり,タイトルバーを[Shift]+左クリックすることでウィンドウの枠が白くなっていれば,ワークスペースを移動してもウィンドウをそのままにしておくことができます.
画面の右上に並んでいるアイコン群です.アイコンの左下に … がついているアイコン は,ダブルクリックすると何らかのアクションが発生します.この Dock アイコンは, 上から順番に次のようになっています.[図: Dock]
Netscape Communicator 実行中にダブルクリックすると,インストールされている Vine Linuxガイド文書にジャンプします.Netscape Communicatorが起動されていない場合は自動的に起動されます.
何の変哲もない,日めくりカレンダーです.ダブルクリックしても,何も起こりません.
tknamazu によるドキュメント検索システムが起動します.tknamazu では,JMプロジェクトによる日本語マニュアルページや JFプロジェクトの日本語文書などを検索することができます.もちろん日本語での検索が可能です.
Window Maker の設定ツール WPrefs です.Window Maker は,従来のウィンドウマネージャと異なり,GUI でカスタマイズすることが可能となっています.
PPxP がインストールされていれば PPP 接続(xppxm)が,インストールされていなければ メール到着状態(WMMail)が入ります.
PPP 接続ツール PPxP のインターフェースです.これを使用する前に,tkppxp を起動して接続に関する情報を設定しておく必要があります.tkppxp は,ルートウィンドウ(何もない背景の部分)でマウス右ボタンをクリックすると表示されるメインメニューから,ユーティリティ→ネットワーク→PPP 接続を選べば実行できます.詳しくは「 ダイアルアップ接続(PPxP)の設定」を参照してください.
メール到着状態を表す WMMail.app です.ダブルクリックすると vmail が起動します.
WWW ブラウザの Netscape Communicator です.若干の制限がありますので,/usr/doc/netscape-4.71 以下のドキュメントも参照して下さい.
日本語表示可能ターミナル kterm が起動されます.通常の作業は,このターミナル上で行います.
Vine Linux オリジナルメーラ vmail が起動されます.
Vine Linux オリジナル簡易エディタ vedit が起動されます.
Dockは,GUIによって動的にメニューを設定できるユニークなアプリケーションランチャでもあります.ダブルクリックすることで登録されたアプリケーションが起動されれます.設定のメニューは右クリックで表示されます.
Dock からドックアイコンを削除したい場合,アイコンを左ドラッグして画面の中心付近で離します.ドックアイコンを追加したい場合は,画面左下に表示されるアプリケーションアイコンを左ドラッグして,Dock の空き場所で離します.通常,あるドックアイコンから起動されるアプリケーションはひとつだけですが,[Ctrl]+ダブルクリックによって複数起動することもできます.
補足:アプリケーションによっては,アプリケーションアイコンが表示されないものがありますが,以下のような手順で登録することができます.
- kterm などのコマンドラインから
を実行する.$ kterm -name <アプリケーション名> -e <登録したいアプリケーション><アプリケーション名>というタイトルの kterm が起動するので,タイトルバーを右クリックして「属性」を選ぶ.- タイトルバーが「
<アプリケーション名>.KTerm」となっていることを確認し,タイトルバーで右クリックしたメニューの「属性」から,「アプリケーション固有の設定」の「起動時に隠す」をチェックする.ついでに「アイコンと初期ワークスペース」でミニウィンドウのアイコンも変更しておくこと.- アプリケーションアイコンを Dock にドラッグする.
登録されたドックアイコンで右クリックして「設定」を選べば,アプリケーショ ンのパスと引数が「
kterm -name <アプリケーション名> -e <起 動したいアプリケーション>」となっていることがわかるでしょう.
ルートウィンドウで右クリックすると出るのがメインメニューです.様々なメニューがあるのですが,ここでは注意してほしい部分のみ紹介しておきます.
このメニューには,root ユーザが扱うべき管理ツールが登録されています.kterm が起動しパスワードを聞かれますので,root 用のパスワードを入力してください.パスワードの入力に失敗すると終了します.
このメニューは,「wmconfig --output wmaker」というコマンドによって自動生成されています.各パッケージによって /etc/X11/wmconfig/ 以下にインストールされたファイルを参照しています.
Window Maker の各種設定は,Dock に登録されている
WPrefsや,メインメニューの「外観・効果音の設定」にある
wmakerconf を利用して,GUIによって行うことができます.個人用の設定ファイル自体は ~/GNUstep/ ディレクトリ以下にありますが,それらのファイルを直接編集する必要はほとんどありません.WMPrefs や wmakerconf で設定した内容のほとんどは,直ちに実行中の Window Maker に反映されますので,Window Maker 自体を再起動する必要もほとんどありません.
WPrefsでの設定は大きくわけて下のような項目に分かれています.
自動配置方法,移動時の表示など
フォーカスのポリシー,ウィンドウを自動的に前に出すかどうかなど
メニューの配置方法など
各アイコンの表示方法など
リサイズ情報表示,バルーンヘルプの表示など
アイコン用の画像を検索するパスの設定
ワークスペース,Dock の設定
アニメーションの設定など
メニューの内容設定
キーボードショートカットを簡単に定義できる
マウスの速度など
Window Makderの細かい設定
wmakerconf でも設定できる項目は同様ですが,特にウィンドウの色設定などを細かく指定できます.テーマを自作したい人にはうれしい機能ですね.ついでながら,
http://wm.themes.org/
には Window Maker 用の様々なテーマが収集されていますので,派手な画面に興味のある人は見てみるとよいでしょう.
Window Maker を終らせるには,メインメニューから「終了:セッションの終了」を選びます.